結論:生成AIは、ツールを渡されただけでは、業務に定着しません。必要なのは、議事録・問い合わせ対応・Excelのような、成果物が決まった具体的な場面で、繰り返し練習することです。 このコースは、そのための全8章・合計約18時間の実務練習コースです。このページ1枚で、学ぶ内容とサンプルファイルの有無が分かります。

このコースは何か

生成AIのチャットに、思いつきで質問するだけでは、仕事の力は上がりません。 このコースでは、実際の職場で起こる課題を、AIを使って解決しきる練習をします。

対象は、次のような人です。

  • 生成AIは触ったことがあるが、仕事のどこに使えばよいか分からない人
  • 使っているが、出力がばらつき、内容が正しいかの確認にも不安がある人
  • 資格の勉強で得た知識を、実務の成果物に変える練習をしたい人

特徴は、次の3つです。

  • 1章が、1つのユースケース:議事録、問い合わせ対応、Excelなど、成果物が決まった場面ごとに、章を分けています
  • 「実例を見る → 自分でプロンプトを設計する → 答え合わせをする」の流れ:投げる前に設計する力を鍛えます
  • AIの典型的な失敗を、ワナとして仕込んだ素材で練習:担当者や期限を勝手に補う、未確定のことを断定する、存在しない出典を作る、といった失敗を、自分で見抜く練習をします

全章に共通する土台は、プロンプトの設計の5要素です。

  • 目的:誰に・何のために・何を作るか
  • 入力:AIに渡す素材は何か
  • 制約:やってはいけないこと・守るルール
  • 出力形式:表・箇条書き・文字数など
  • 検証:出力が正しいか、何と突き合わせるか

なぜ、ユースケース別に練習するのか

ZDNET Japan(Yahoo!ニュース配信)の記事によると、Thomson Reutersが複数分野のプロフェッショナル1,800人を対象にした「2026 Future of Professionals Report」で、従業員の91%が、自社はAIがもたらす価値を十分に引き出せていないと回答しています。 記事では、その理由の1つとして、明確な成果を想定せずに、ツールだけを従業員に渡す「ツールの大量導入」が挙げられています。 うまくいっている企業は、ユースケースをかなり具体的に定めている、という指摘もあります。

チャットと対話するだけの練習は、この「ツールだけを渡された」状態と同じです。 そこで、このコースでは、どの問題にも、素材と成果物と、答え合わせの基準(ルーブリック)を付けました。

各章の流れ

どの章も、同じ型で進みます。

  • ユースケース:職場のどんな場面で起きるか
  • 実例:1つの課題を、最後まで解いてみせる(悪い指示 → 失敗 → 改善したプロンプト → 人が確認した点)
  • 練習問題(4問):素材を読み、5要素を自分で埋めて、AIに頼み、ルーブリックで自己採点し、解説を読む
  • 設計の確認問題:選択式で、理解を確かめる
  • 自分の職場に置き換える:章の型を、自分の仕事に当てはめる

問題は、同じ場面で、条件を厳しくしながら繰り返します。 素材が整っている問題から、素材が曖昧な問題、制約が厳しい問題、AIの誤りを見抜く問題へと進みます。

1〜8章で学ぶこと

章ユースケース身につく力サンプルファイル目安
第1章議事録・会議メモの整理5要素での依頼設計、素材にないことを補わせないなし(素材は本文に掲載)120分
第2章問い合わせ対応・FAQ作成社内ルールを制約にする、勝手な約束を防ぐなし(素材は本文に掲載)135分
第3章資料・企画書の作成構成案から本文へ、根拠のない数字を作らせないなし(素材は本文に掲載)120分
第4章調査・情報収集とファクトチェック資料の範囲内で答えさせる、出典の検証なし(素材は本文に掲載)120分
第5章Excel・スプレッドシート業務表の形を渡す、例外の扱い、検算あり(営業課の売上のExcel)120分
第6章コード・簡易ツールの作成仕様を先に固める、エラーの渡し方、コードのレビューなし(コード中心のため)150分
第7章運用(ログ解析・障害報告・手順書)事実と仮説を分ける、根拠の行番号あり(サーバーログ・バックアップ関連)150分
第8章仕組み化(総合演習)工程分解、テンプレート化、AI利用ルールあり(日報・目標・価格表・見積依頼)150分

第1章 議事録・会議メモの整理

雑談や曖昧な発言が混ざった走り書きを、共有できる議事録に整えます。 AIが、メモにない担当者や期限を勝手に補ってしまう失敗を、防ぐ練習が中心です。 社外向けの制約つきの議事録や、AIが書いた議事録の誤り探しも、練習します。

第2章 問い合わせ対応・FAQ作成

顧客のメールへの返信案を、AIと作ります。 怒っている顧客への返信で、未確定の返金や納期を約束してしまう失敗を、社内ルールを制約にして防ぎます。 毎回の長い依頼を短くするために、社内規定をAIに登録する方法も、この章で体験します。

第3章 資料・企画書の作成

提案書を、構成案から本文へと、段階に分けて作ります。 素材にない数字や事例をAIに作らせない書き方、比較表、Mermaid記法の図、読み手(課長・役員)に合わせた書き分けを練習します。

第4章 調査・情報収集とファクトチェック

手元の資料を渡して、資料の範囲内で答えさせる基本形を学びます。 資料同士の食い違いの整理、資料にないことを「資料にない」と答えさせる書き方、AIが挙げた出典を人が確認する手順を練習します。

第5章 Excel・スプレッドシート業務

列構成とサンプル行、期待する結果を渡して、数式を作ってもらいます。 営業課の売上データを使い、条件つきの合計、取引先名の表記ゆれの統一、担当者別の前月比、AIが出した数式の誤りの検算を練習します。 シートの設計を先にAIと決める方法や、入力の自動化の考え方も紹介します。

第6章 コード・簡易ツールの作成

業務用の簡単なツール(Google Apps Scriptなど)を、AIと作ります。 コードを書かせる前に仕様を固める進め方、エラーの伝え方、他人が書いたコードを実行前にレビューする方法を練習します。 この章は、自分のパソコンで、プログラムを動かして確かめられる人が対象です。初めての方は、先に事前準備編のコラムから始めてください。

第7章 運用(ログ解析・障害報告・手順書)

サーバーのログから、障害の経緯を整理し、報告書のたたき台を作ります。 事実と仮説を分ける、根拠の行番号を付けさせる、顧客向けと社内向けに書き分ける、手順書の抜けを見抜く、といった練習をします。

第8章 仕組み化(総合演習)

営業課長の日報から週報を作る仕組みを題材に、業務を工程に分けます。 AIに任せる部分と、人が判断する部分を分け、プロンプトをテンプレートにし、AIによる採点の限界を知り、職場のAI利用ガイドを作る、総合演習です。

サンプルファイルについて

素材の量が多い章には、練習用のサンプルファイルを用意しています。 いずれも架空のデータで、ZIPファイルにまとめてあります。

章入っているもの
第5章営業課の9月の売上を入れたExcelファイル(売上明細と、担当者別の前月比の2シート)
第7章3台のサーバーのログ、バックアップの実行ログ・使用量の記録・設定ファイルなど(異常のある行番号は、章の「答え合わせ用」に掲載)
第8章営業課の日報25本、課長の月間目標、週報のひな形、価格表、見積依頼4件(メール・FAX・電話メモ)

第1〜4章は、素材が短い文章なので、本文に掲載しています。コピーして、AIに貼り付けて使います。 第6章は、コードが中心のため、サンプルファイルはありません。

サンプルファイルは、必要な人だけダウンロードしてください。 本文に、ファイルの抜粋も載せているので、ダウンロードしなくても、流れは追えます。

手元のデータで練習してもよい

もし、手元に、やってみたいデータがあるなら、サンプルの代わりに、それを使って練習してかまいません。 むしろ、その方が、仕事にすぐ役立ちます。

章手元のデータの例
第1章自分が参加した会議の走り書き
第2章過去の問い合わせ(顧客名や注文番号は伏せる)と、自分の部署の対応ルール
第3章提案したい内容のメモ、比べたいツールの仕様メモ
第4章手元の資料2〜3個(社内アンケート、公的機関の資料の抜粋など)
第5章自社の売上や経費の表の5〜10行(氏名・金額はダミーに置き換える)
第6章自分が繰り返している、手作業の業務
第7章実際のログ(識別できる情報は伏せ、期間とレベルで絞る)や、手順のメモ
第8章毎週・毎月繰り返している、定型の業務

自分のデータで練習するときは、次の点に気をつけてください。

  • 機密や個人情報は、AIに貼る前に伏せる:氏名、社名、金額、IPアドレスなどをダミーにします。社内のAI利用ルールも確認します
  • 答え合わせのために、小さくする:5〜10行程度に絞り、AIに頼む前に、自分で先に答えを出しておきます
  • ルーブリックを、自分で作る:各章のルーブリックを参考に、「補っていないか」「根拠が付いているか」など、5項目ほどの基準を作ります
  • 各章の最後にある「自分の職場に置き換える」は、まさにこの練習です

おすすめの進め方

各章は、独立して読めます。ただし、第1章の5要素は、全章の土台です。 迷ったら、次のように進めてください。

  • はじめての方:第1章 → 第2章 → 第3章の順に進み、5要素に慣れる
  • 表計算の業務が多い方:第1章のあとに、第5章へ
  • エンジニアや、システム運用の方:第1章のあとに、第6章 → 第7章へ(第6章の前提を確認)
  • 管理職や、業務の見直しをしたい方:第8章の実例(日報から週報)を読むだけでも、仕組み化の全体像がつかめます

最後の第8章は、第1〜7章の型を使う総合演習です。 すべてをやり切ると、合計約18時間です。1日1章のペースなら、8日で終わります。

使うAIについて

ChatGPT、Claude、Geminiなど、普段使っているチャット型のAIで練習できます。 第5・7・8章では、ファイルを添付できるAIが便利ですが、内容を貼り付ける方法でも進められます。

毎回の依頼が長くなってきたら、制約を、AIに登録して短くする方法があります。 生成AIに社内ルールを覚えさせるスキル設定のやり方で、ChatGPT・Claude・Geminiの手順を解説しています。

注意

  • このコースは、実務練習用の教材です。AIの出力は、必ず人が検証してください
  • サンプルファイルの会社名・人物・数字は、すべて架空です
  • 実際の業務で使うときは、社内のAI利用ルールに従い、機密や個人情報を、そのまま入力しないでください

資格学習との関係

このコースは、特定の資格試験の対策ではありません。 ただ、資格の勉強で身につけた知識は、実務の成果物に変えて初めて、仕事の力になります。

ITパスポートや情報セキュリティマネジメントのコースで学んだ内容を、実務の場面で使う練習として、このコースを役立てられます。

関連記事インデックス

記事内容
生成AIに社内ルールを覚えさせるスキル設定のやり方社内規定をAIに登録し、毎回の長い依頼を短くする手順
生成AIでプログラミングをするための事前準備第6章の前に、自分のパソコンで、プログラムを動かす体験をする
S.E.L.Fループで自己学習を設計する各章の最後に使える、AIとの振り返りの型

まとめ

  • 生成AIを仕事に定着させるには、成果物が決まった、具体的な場面での練習が必要
  • このコースは、全8章(合計約18時間)。1章が1ユースケースで、どの問題にも、素材・成果物・答え合わせの基準がある
  • サンプルファイルがあるのは、第5・7・8章。他の章は、素材を本文に載せている。手元のデータで練習してもよい
  • どの章も、プロンプトの設計の5要素と、「AIの出力は、必ず人が検証する」が土台

まずは、第1章 議事録・会議メモの整理から、始めてください。