· 学習メソッド · 17 min read
生成AIでプログラミングをするための事前準備|初心者がPythonでTODOアプリを動かすまで
AIにコードを書かせても、自分のパソコンで動かせなければ意味がありません。ターミナル・Python・GitHubの用語から、TODOアプリをAIと作って動かすまでを初心者向けに解説します。

結論:AIにプログラムを書かせるより前に必要なのは、書いてもらったプログラムを、自分のパソコンで動かして確かめる準備です。 この記事では、Pythonを入れ、TODOアプリをAIと一緒に作って動かすまでを、初心者向けに順を追って解説します。
なぜ事前準備が必要なのか
生成AIを使えば、プログラミングの経験がなくても、それらしいコードがすぐに出てきます。 ところが、そこで止まってしまう人が多くいます。
- 「ターミナルって何?」
- 「ライブラリを入れる、と言われたけれど、どこで何をするのか分からない」
- 「GitHubって何? 登録しないといけないの?」
AIが書いたコードは、自分のパソコンで動かして、結果を確かめて初めて価値が出ます。 動かせなければ、エラーが出たときに、何が起きているのかも分かりません。
用語の解説や解決策は、Webで検索すれば、いくらでも見つかります。 この記事のねらいは、その前の段階です。最小限の準備で、小さなアプリを1つ、自分のパソコンで動かす体験をしてもらうことです。
まず、用語を5つだけ知る
最初に、よく出てくる用語を整理します。 全部を理解する必要はありません。「今回は必要か」の列だけ、押さえてください。
| 用語 | 意味 | 今回は必要か |
|---|---|---|
| ターミナル | パソコンに、文字で命令を入力する画面(Windowsは PowerShell など、Macは「ターミナル」アプリ) | 必要。ごく簡単な操作だけ使う |
| Python | プログラミング言語の1つ。書いたら、すぐ動かして確かめられる | 必要。インストールする |
| ライブラリ | 他の人が作った、便利な部品 | 今回は使わない(標準の機能だけで作る) |
| IDE | プログラムを書くための専用ソフト | 不要。最初はメモ帳やAIの画面で十分 |
| GitHub | プログラムの共有や、変更履歴の管理をするサービス | 不要。後で必要になったら学ぶ |
「コンパイル」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。 これは、プログラムを実行できる形に変換する作業ですが、Pythonでは、自分でその作業をする必要はありません。書いたファイルを、そのまま実行できます。
準備1:Pythonをインストールする
Windowsの場合
Pythonの公式ドキュメントでは、Windows向けに「Python install manager」を使う方法が、推奨されています。 Microsoft Store、または、Python公式サイト(python.org)のダウンロードページから入手できます。
以前は、「インストーラーを実行し、PATHに追加するにチェックを入れる」という手順が一般的でした。 公式ドキュメントによれば、Python 3.14からは、従来のフルインストーラーとpyランチャーは、非推奨になっています。 AIや、古い解説記事が示す手順は、この違いで、画面が合わないことがあります。迷ったら、公式ドキュメントと照らして確認してください。
インストール後は、ターミナル(PowerShell)で、次のコマンドを実行して、確認します。
python --version「Python 3.〇.〇」のように、バージョンが表示されれば成功です。 pythonで動かないときは、py --versionも試してください。
Macの場合
python.orgのmacOS用のインストーラーを使う方法が、公式ドキュメントで案内されています。 Apple Silicon(M1など)でもIntelでも動く形式で提供されています。 インストールすると、標準の開発環境(IDLE)なども、一緒に入ります。
ターミナルで、次のコマンドで確認します。
python3 --versionMacでは、pythonではなく、python3と入力する点に、注意してください。
手順が分からなければ、AIに聞く
私のパソコンはWindows 11です。Pythonを初めてインストールしたいです。
**条件**
- 公式サイトの最新の推奨の方法で
- 1ステップずつ、確認するコマンドと、成功したときの表示も添えて
- 私は、ターミナルを使ったことがありませんAIの手順が、画面と合わないときは、その画面のスクリーンショットや、表示された文章を、そのままAIに見せてください。
準備2:ターミナルを開いて、コマンドを打つ
ターミナルで最初に覚えるのは、次の3つだけです。
| やりたいこと | Windows(PowerShell) | Mac(ターミナル) |
|---|---|---|
| ターミナルを開く | スタートメニューで「PowerShell」または「ターミナル」を検索 | 「ターミナル」アプリを検索して開く |
| 作業するフォルダに移動する | cd フォルダの場所 | cd フォルダの場所 |
| 今いるフォルダのファイルを見る | dir | ls |
cdは、「そのフォルダに移動する」という命令です。 プログラムのファイルは、ターミナルで、そのファイルがあるフォルダに移動してから実行します。ここでつまずく初心者が、非常に多くいます。
エラーのような表示が出たら、消さずに、そのまま全文をAIに貼り付けて、「何が起きているか、初心者に分かるように教えて」と頼みます。
準備3:作業用のフォルダを作る
- デスクトップなどに、「ai-practice」のような、作業用のフォルダを作る
- 今後、作ったプログラムは、すべてこのフォルダに保存する
- ターミナルで、このフォルダに
cdで移動しておく
フォルダの名前や場所に、日本語や空白が入っていても動きますが、最初は、半角の英数字だけの名前にしておくと、トラブルが少なくなります。
最初の課題:TODOアプリを作って動かす
準備ができたら、Pythonの定番の題材である、TODOアプリを作ります。 コマンドで、タスクの「追加」「一覧」「完了」ができる、簡単なアプリです。
AIには、次のように頼みます。 第6章までのポイントを踏まえて、目的・条件・出力の形を、はっきり伝えています。
Pythonの初心者です。次のアプリを、Windowsのパソコンで動かせる形で作ってください。
**作りたいもの**
コマンドで使える、シンプルなTODOアプリ(追加・一覧・完了)
**条件**
- ファイルは todo.py の1つだけ。外部のライブラリは使わない
- データは、同じフォルダの todo.json に保存する
- コードの各部分に、初心者向けの短いコメントを付ける
- 最後に、実行するコマンドの例を示すMacの人は、「Windowsのパソコン」を「Macのパソコン」に変えてください。
実際に試した結果
この依頼を、Claude Codeで実行しました。 AIは、todo.pyというファイルを作り、次のように報告しました。
todo.pyは作成しましたが、動作確認はできていません。テスト用のコマンドが、実行の許可待ちでブロックされたためです。使う前に、下の例を一度実行して確かめてください。
このように、AIが「まだ動かしていません」と正直に伝えることがあります。 そうでなくても、動くかどうかを確かめるのは、自分の役目です。
作られたコードは、Windows 11・Python 3.12の環境で実行して確かめました。 AIが示したコマンドの例のとおりに、次のように動きました。
python todo.py add "牛乳を買う"
追加しました: [1] 牛乳を買う
python todo.py add "宿題をする"
追加しました: [2] 宿題をする
python todo.py list
1: [ ] 牛乳を買う
2: [ ] 宿題をする
python todo.py done 1
完了にしました: [1] 牛乳を買う
python todo.py list
1: [x] 牛乳を買う
2: [ ] 宿題をする
python todo.py done 9
番号 9 のタスクが見つかりません。存在しない番号を指定したときも、エラーで止まらず、分かりやすいメッセージが表示されました。 データは、同じフォルダのtodo.jsonに保存されます。
自分のパソコンで動かす手順
- AIが作ったコードを、コピーして、メモ帳などに貼り付ける
- 作業用のフォルダに、
todo.pyという名前で保存する(文字化けするときは、文字コードをUTF-8にして保存し直す) - ターミナルで、作業用のフォルダに
cdで移動する python todo.py add "テスト"のように実行する(Macはpython3)python todo.py listで、追加されていることを確認する
エラーが出たら
エラーが出るのは、失敗ではなく、通り道です。 次の5つを、そのままAIに渡すと、原因を特定してもらいやすくなります。
- エラーメッセージの全文
- コードの全文
- 何を実行して、どこで起きたか
- 使っているパソコン(Windows/Mac)と、Pythonのバージョン
- 今いるフォルダと、ファイルの場所
初心者がつまずきやすい例です。
- 「pythonが見つからない」という表示:Pythonが入っていない、または、コマンド名が違う。Windowsなら
py、Macならpython3を試す - 「ファイルが見つからない」という表示:ターミナルで、ファイルがあるフォルダに移動していない。
cdで移動する - 日本語が文字化けする:ファイルの文字コードを、UTF-8にして保存し直す
次の課題:作ったアプリを、自分で育てる
動いたら、次は、AIと対話しながら、少しずつ改造します。 一度に多くを頼まず、1回に1つだけ頼むのがコツです。
- 「タスクに、期限の日付を付けられるようにして」
- 「タスクを削除するコマンドを追加して」
- 「未完了のタスクだけを表示するコマンドを追加して」
- 別の題材として、「指定した分数を数えて、終わったら知らせるタイマーを作って」
改造するたびに、実際に動かして確かめてください。 これが、第6章で扱う「小さく作って、動かして、確かめる」進め方の練習になります。
どのAIを使えばよいか
最初は、ブラウザで使うチャット型のAI(ChatGPT、Claude、Geminiなど)で、コードをコピーして貼り付ける方法で十分です。 無料のプランでも、始められます。
慣れてきたら、パソコン上のファイルを、AIが直接読み書きして、実行の確認までしてくれるツールもあります。
- Claude Code:Windows・Macの「Claudeデスクトップアプリ」の「Code」タブから、ターミナルなしで使えます。ただし、有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)が必要です
- ChatGPTのCodex:OpenAIの公式の料金ページでは、Free・Go・Plusなどの各プランに含まれると案内されています(無料プランは、使える量の上限が小さめです)
費用を抑えて試したいなら、先にChatGPTのCodexで使い心地を確かめて、必要になってからClaude Codeを検討する進め方もあります。 Claude Codeの詳しい使い方は、生成AIに社内ルールを覚えさせるスキル設定のやり方でも触れています。
GitHubは、今は要らない
GitHubは、プログラムを保存・共有したり、変更の履歴を管理したりするサービスです。 チームで開発したり、作ったものを公開したりするときに役立ちますが、自分のパソコンで、小さなアプリを動かす段階では、必要ありません。 必要になったときに、AIに「GitHubを初めて使う人向けに、最小限の手順を教えて」と頼めば、十分です。
安全のための注意
AIが書いたコードを、内容が分からないまま実行しないでください。 ファイルを削除する処理や、データを外部に送信する処理が、含まれていることがあります。
- 必ず、作業用のフォルダ(テスト用)で試す
- 大切なファイルが入っているフォルダでは、試さない
- 個人情報や、会社の機密を、コードや依頼文に含めない
- 意味が分からない行があれば、AIに「この行は何をしているのか」と聞いてから実行する
まとめ
- AIが書いたプログラムは、自分のパソコンで動かして、確かめて初めて価値が出る
- 最初に必要なのは、Pythonのインストールと、ターミナルの最小限の操作。ライブラリやGitHubは後回しでよい
- Windowsでは、Pythonの公式ドキュメントが「Python install manager」を推奨している。古い手順とは画面が違うことがある
- 最初の題材は、TODOアプリ。AIに頼み、作られたコードを自分で動かして確かめる
- エラーは、全文・コード・状況・環境・場所をAIに渡す。改造は1回に1つずつ
自分のパソコンで、プログラムを動かせるようになったら、次は、業務で使うツールの作り方に進みます。 「生成AI実務練習コース」(コース全体の案内)の第6章 コード・簡易ツールの作成で、仕様の固め方、エラーの直し方、他人が書いたコードのレビューを練習できます。
参考(公式情報・確認日 2026-09-29)
- Python公式ドキュメント「Python Setup and Usage:Windowsで使う」「同:macOSで使う」
- Claude Code Docs「デスクトップアプリを始める」
- OpenAI(ChatGPT)Codexの料金・利用可能プラン(learn.chatgpt.com/docs/pricing)



