この章で学ぶこと
データを「どう管理するか(データマネジメント)」「どう分析するか(データ分析・データ利活用)」、そしてAIを「どう使うか(AI利活用)」「どういう仕組みか(AI技術)」の4系統です。データマネジメント・AI利活用は2027年シラバスで新設・強化された分野、データ分析・AI技術は既存theory記事の蓄積が厚い分野という違いがあるため、両方をバランスよく扱います。
データマネジメント
企業がデータを経営資源として体系的に管理する考え方がデータマネジメントです。データが作られてから捨てられるまでを一連の流れとして捉えるデータライフサイクル(生成→保管→処理→活用→廃棄)が骨格で、各段階でデータの正確性を保つデータ品質管理、データの意味や出所を記録するメタデータ管理が付随します。組織全体でデータ活用のルールを統制するデータガバナンス、データに基づいて意思決定するデータドリブン経営という姿勢もあわせて押さえます。
扱う用語(精選後・6語)
- データドリブン経営
- データマネジメント/データガバナンス
- データライフサイクル(生成,保管,処理,活用,廃棄)
- データ品質管理
- メタデータ管理
データ分析・データ利活用
データを蓄積する基盤として、あらゆる形式のデータをそのまま貯めるデータレイク、整理・統合して分析用に貯めるデータウェアハウス(DWH)、特定部門向けに絞ったデータマートの3段階を区別します。データの種類は、表形式に整理された構造化データと、文章・画像などの非構造化データ、量が膨大なビッグデータ、誰でも使えるオープンデータで整理します。
分析手法としては、大量データから規則性を見つけるデータマイニング、文章データを分析するテキストマイニング、データの「真ん中」を示す代表値(平均値・中央値・最頻値)、バラツキを示す標準偏差・分散が基本です。2変数の関係を予測する回帰分析と関係の強さを見る相関分析、母集団の一部から全体を推測する標本抽出(サンプリング)もセットで扱います。品質管理の定番手法として、重要度順に並べるABC分析(パレート図)、原因を洗い出す特性要因図、2変数の関係を点で示す散布図があり、この3つは「QC七つ道具」として一緒に出題されやすい組み合わせです。
扱う用語(精選後・20語)
- データレイク/データウェアハウス(DWH)/データマート
- 構造化データ/非構造化データ/ビッグデータ/オープンデータ
- データマイニング/テキストマイニング
- 代表値(平均値,中央値,最頻値)
- 標準偏差/分散
- 回帰分析/相関分析
- 標本抽出(サンプリング)
- ABC分析(パレート図)/特性要因図/散布図
- ヒストグラム
- 確率
深掘り: DWH・データマイニング・回帰分析とは?/平均値・標準偏差・確率・サンプリングとは?/ABC分析・特性要因図・散布図とは?/テキストマイニングとは?
AI利活用
「人間中心のAI社会原則」(公平性・説明責任・透明性など)を土台に、実務でのAI活用パターンを学習方式別に整理します。数値を予測する教師あり学習による予測(売上予測など)、似たものをグループ分けする教師なし学習によるグルーピング(顧客セグメンテーション)、試行錯誤で最適化する強化学習による支援(配車ルート最適化)の3パターンです。
文章・画像・音声を横断して扱うマルチモーダルAI、外部情報を検索して回答精度を上げるRAG(検索拡張生成)、AIへの指示の出し方を工夫するプロンプトエンジニアリング、人に代わって自律的にタスクを進めるAIエージェントは、生成AI活用の実務語として頻出です。
扱う用語(精選後・8語)
- 人間中心のAI社会原則
- 教師あり学習による予測/教師なし学習によるグルーピング/強化学習による支援
- マルチモーダルAI
- RAGによる知識連携
- プロンプトエンジニアリング
- AIエージェント
深掘り: プロンプトエンジニアリングとは?
AI技術
AIの学習方式は、正解データを与える教師あり学習、正解を与えず特徴を発見させる教師なし学習、試行錯誤で報酬を最大化する強化学習の3種類が基本です。人間の脳を模したニューラルネットワークを多層にしたものがディープラーニング(深層学習)で、その延長線上に文章を扱う大規模言語モデル(LLM)があります。LLMが外部の知識を検索して参照する仕組みが検索拡張生成(RAG)で、AI利活用の節と対応づけて理解すると定着しやすくなります。
扱う用語(精選後・7語)
- 教師あり学習/教師なし学習/強化学習
- ニューラルネットワーク
- ディープラーニング(深層学習)
- 大規模言語モデル(LLM)
- 検索拡張生成(RAG)
深掘り: 機械学習の3種類とは?/ディープラーニング基礎理論
AIで学ぶ
ここまでの用語は、ChatGPTやClaudeなどの生成AIに以下のプロンプトを投げかけると、比較表つきでさらに深く掘り下げて学習できます。コピーして使ってみましょう。
あなたはITパスポート試験の講師です。「データとAI」の範囲について、以下の用語を初学者向けに**関連づけながら**説明してください(単体の丸暗記より、用語同士のつながりを理解したほうが記憶に定着しやすく、試験本番で紛らわしい選択肢を見分ける力もつくためです)。用語同士の違いが分かる**比較表**を最後に付けてください。
【データマネジメント】データマネジメント、データガバナンス、データライフサイクル
【データ分析・データ利活用】データレイク/DWH/データマート、構造化/非構造化データ、データマイニング、代表値(平均値・中央値・最頻値)、標準偏差、回帰分析、ABC分析、特性要因図、散布図
【AI利活用】教師あり学習による予測、教師なし学習によるグルーピング、強化学習による支援、マルチモーダルAI、RAG、プロンプトエンジニアリング
【AI技術】教師あり/教師なし/強化学習、ニューラルネットワーク、ディープラーニング、LLM、RAGこのプロンプトは、役割設定(試験の講師として振る舞わせる)→関連づけの指示(用語を単に列挙させず、つながりで説明させる)→出力形式の指定(比較表で受け取る)という3段構成でできています。コピーして使うだけでなく、この組み立て方を覚えておくと、他の章や他の資格でも自分でプロンプトを作れるようになります。
章末チェック
最後に、この章で学んだ知識をアウトプットして定着させましょう。全問に答えたら「答え合わせ」を押してください。
問1. あらゆる形式の生データをそのまま蓄積するデータ基盤はどれか。
問2. 正解データを与えずに、AIにデータの特徴やパターンを発見させる学習方式はどれか。
問3. AIが外部の情報を検索して参照することで回答の精度を高める仕組みはどれか。
問4. 品質管理で重要度の高い順に項目を並べ、優先順位を決める分析手法はどれか。
この章のまとめ
この章では、データマネジメントの考え方、データウェアハウスや回帰分析といった分析手法、そして教師あり学習・ディープラーニングなどAIの技術と活用法を学びました。
最終章では、これまで扱ってきた情報資産をどう守るかというセキュリティと、生成AI時代に欠かせない情報倫理を学びます。→ 第8章 セキュリティと情報倫理