· 用語解説  · 11 min read

多要素認証・SQLインジェクション・XSS・ランサムウェアとは?攻撃と対策を1ページで

多要素認証(MFA・パスキー)、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、ランサムウェア。ITパスポート・情報セキュリティマネジメントで問われる攻撃と対策を、1ページで整理します。

多要素認証(MFA・パスキー)、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、ランサムウェア。ITパスポート・情報セキュリティマネジメントで問われる攻撃と対策を、1ページで整理します。

セキュリティの分野には、攻撃の名前と対策の名前が、たくさん並びます。「SQLインジェクションの対策は、サニタイズか、プレースホルダか」「XSSで盗まれるのは何か」と、攻撃と対策の組み合わせが混ざりやすいところです。

この記事では、本人確認(多要素認証)、Webアプリへの攻撃(SQLインジェクション・XSS)、データを人質にする攻撃(ランサムウェア)を、「何を狙われ、どう守るか」でそろえて、1ページに並べます。

全体像

分類用語狙われるもの主な対策
本人確認多要素認証(MFA)パスワードの漏洩、なりすまし異なる種類の要素を2つ以上組み合わせる
Webアプリへの攻撃SQLインジェクションデータベースプレースホルダ、サニタイズ
Webアプリへの攻撃XSS閲覧者のブラウザ、Cookieサニタイジング(エスケープ)、WAF
被害の拡大ランサムウェアデータそのもの侵入の防止、早期の隔離、バックアップ、EDR

多要素認証|異なる種類を組み合わせる

パスワードだけの認証は、漏洩や推測で破られます。多要素認証(MFA)は、次の3種類の要素から、異なる種類を2つ以上組み合わせます。

要素内容例
知識本人だけが知っているパスワード、秘密の質問
所持本人だけが持っているスマートフォン、ICカード、トークン
生体本人の身体的な特徴指紋、顔、静脈

試験では、「どの組み合わせが多要素認証にあたるか」が問われます。パスワードと秘密の質問は、どちらも「知識」なので、多要素認証ではありません。複数のICカードを組み合わせても、どちらも「所持」なので、多要素認証ではありません。一方、指紋認証(生体)とICカード(所持)の組み合わせは、異なる種類なので、二要素認証と呼べます。

パスキーと生体認証の注意点

パスキーは、パスワードを使わない認証技術です。国際標準のFIDO2に基づき、端末の中に作った秘密鍵と公開鍵のペアで認証します。秘密鍵は端末の中に保管され、利用者は生体認証などで端末のロックを解除して、認証を行います。パスワードレス認証の代表として、試験でも問われます。

生体認証は、忘れる心配がありませんが、怪我などで読み取れなくなる可能性があります。つまり、可用性(必要なときに使えること)に注意が必要で、実務では、バックアップの認証手段を用意しておきます。

SQLインジェクション|入力欄からデータベースを操る

SQLインジェクションは、ログインフォームや検索窓のような入力欄に、特殊な文字列を入力して、データベースへの命令(SQL)を、意図しない形に書き換える攻撃です。たとえば、' or 1=1 -- のような文字列で、パスワードを知らなくてもログインできてしまう場合があります。金庫の鍵を盗むのではなく、ドアの鍵そのものを開けっ放しにするようなものです。

対策内容
プレースホルダあらかじめSQLの雛形を用意し、入力値を後から安全にはめ込む。入力値がSQLの命令として解釈されない。最も推奨される堅牢な対策
サニタイズ入力に含まれる ' や ; などの特殊文字を無効化(エスケープ)する

試験では、「どんな仕組みで攻撃が行われるか」と「その対策」の組み合わせで出ます。

XSS|閲覧者のブラウザで悪意のあるスクリプトを動かす

XSS(クロスサイトスクリプティング)は、掲示板やコメント欄に、悪意のあるスクリプト(JavaScriptなど)を埋め込んだ投稿をして、それを他の利用者が閲覧したとき、ブラウザの中でスクリプトを実行させる攻撃です。ブラウザは、投稿の内容を通常のWebページの一部と見なして、実行してしまいます。

代表的な被害は、Cookieの盗難です。Cookieには、ログイン状態を保つためのセッションIDが含まれ、盗まれると、攻撃者がその利用者になりすませます(セッションハイジャック)。

対策内容
サニタイジング(エスケープ)入力に含まれる < > & " ' のような、HTMLやJavaScriptで特別な意味を持つ記号を、無害な別の文字列に置き換える
WAF(Web Application Firewall)Webサーバーと利用者の間で通信を監視し、攻撃のコードが含まれていないかを検査して遮断する

SQLインジェクションの標的はデータベース、XSSの標的は閲覧者のブラウザです。どちらもサニタイズが関わるため混ざりやすいですが、「何を狙っているか」で区別できます。

ランサムウェア|データを人質に取る

ランサムウェアは、感染した端末やサーバーのデータを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに、金銭を要求する不正プログラムです。

論点内容
侵入経路業務を装った標的型メールの添付ファイルやリンク。VPN機器などの脆弱性
被害の最小化感染が疑われたら、まず感染した端末やサーバーを、ネットワークから物理的に切り離す。感染の拡大を防ぐ
EDR/XDR端末の不審な挙動を継続的に監視し、異常を検知して、迅速な対応を可能にする。既知のパターンを検出する従来のウイルス対策ソフトを補う
二重脅迫データを暗号化するだけでなく、先に機密情報を盗み出し、「払わなければ公開する」と脅す手口

二重脅迫があるため、バックアップから復旧できても、情報が流出するリスクは残ります。備えは、侵入の防止(メールの教育、脆弱性の修正)、早期の検知と隔離(EDR)、復旧の手段(バックアップ)の3つを、組み合わせます。

生成AIで攻撃と対策の組み合わせを確かめる

攻撃と対策は、たとえ話にして説明させると、区別がつきます。

指紋認証(生体)とICカード(所持)の組み合わせは、二要素認証と呼べますか?
理由を添えて、100文字以内で答えてください。
あるログイン画面で、パスワードを入れなくてもログインできてしまう「SQLインジェクション」の仕組みを、
「ドアの鍵そのものを開けっ放しにする魔法の呪文」にたとえて、100文字以内で説明してください。
ある日、会社のPCに「あなたのデータは暗号化されました。元に戻すには指定のアドレスにビットコインを送ってください」
という画面が表示されました。このとき最初にとるべき行動を、優先順位をつけて2つ挙げてください。

AIの答えは、あくまで学習用の参考です。実際に被害が疑われるときは、社内の手順と専門の窓口に従ってください。


まとめ

  • 多要素認証は、知識・所持・生体の異なる種類を2つ以上組み合わせる。同じ種類の組み合わせは該当しない。パスキーはFIDO2に基づくパスワードレス認証で、生体認証は可用性に注意
  • SQLインジェクションの標的はデータベースで、対策はプレースホルダ(最も堅牢)とサニタイズ
  • XSSの標的は閲覧者のブラウザ(Cookieの盗難など)で、対策はサニタイジングとWAF
  • ランサムウェアは、疑いがあればまずネットワークから切り離す。EDRで検知し、二重脅迫に備えて、バックアップと流出対策を合わせる

次は、暗号やインシデント対応、バックアップまで含めたセキュリティ対策の全体像を、セキュリティ対策の基礎の記事で確かめてください。

最近の情報漏えい事案と、個人・職場でできる対策は、今さら聞けない情報漏えい対策にまとめています。

Back to Blog

Related Posts

View All Posts »