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【開発記】1,171語のシラバスからクイズを自動生成する「AIエンジン」の仕組み
ITパスポート全範囲をカバーする1,171語のキーワード。これらを人手で作問するのは不可能です。Gemini APIを活用し、高品質な問題を自動生成するパイプラインの裏側を解説。

膨大なシラバスという「山」に挑む
ITパスポート試験のシラバス(Ver 6.3)には、実に 1,171語 ものキーワードが掲載されています。
通常、問題集を一冊作るには、専門家が数ヶ月かけて一問ずつ丁寧に作問・校閲を行う必要があります。しかし、私たちの目標は「すべてのシラバス用語を網羅すること」。人海戦術では到底太刀打ちできません。
そこで開発したのが、生成AI(Gemini 2.0 API)を中核に据えた 「クイズ自動生成パイプライン」 です。
3つのステップで構築する「AIエンジン」
このエンジンは、単に「AIに問題を作らせる」のではなく、以下の3つのフェーズを経て、本番試験レベルのクオリティを実現しています。
1. シラバスの「地図」を作る(PDF Parse)
まず、公式のPDFシラバスからテキストを抽出します。 しかし、PDFは人間には読めてもAIには扱いづらい形式です。
- 座標ベースの抽出:単なるテキストコピーではなく、文字の配置場所(XYZ)を解析。
- 構造化:大分類、中分類、小分類、キーワードの親子関係をJSON形式で再現。
これにより、AIに対して「この中分類の、このキーワードについて問題を出しなさい」という正確な指示が可能になります。
2. コンテキスト注入型プロンプト(AI Generation)
AI(Gemini)には、単にキーワードを渡すのではなく、 文脈(コンテキスト) を与えています。
1,171語という膨大な量を持続的に出力させるには、Webチャット版のGeminiやChatGPT、Claudeを使うのではなく、 Claude Code や Gemini CLI といったCLI駆動のAIツールを活用するのが現実的です。
チャットベースでも数回に分ければ実現可能ですが、APIを利用するCLI環境を構築すれば、IPA試験だけでなく他の難関試験の問題作成も一気に処理できる強力な武器になります。
これらにはAPIの知識やターミナル操作が必要ですが、一度習得すればデスクトップアプリとは次元の違う効率を手に入れることができます。
3. 最適なツールの使い分け
PDFからの情報抽出については、現時点では NotebookLM が最も手軽で便利です。
PDFを直接読み込ませて問題を作成することも可能ですが、出力数には制限があるため、大量のデータ処理にはやはりCLI環境でのAI操作が推奨されます。
コスト面では、 Claude Code は現在有料サブスクリプションの範囲内での利用となり、API使用料が発生することに注意が必要です。
一方で Gemini CLI は、Google AI Studioの無料枠を最大限に活用できるため、課金を抑えつつ高品質な問題集を作成したい初学者には最適のスタート地点と言えます。
ただし、無料枠にもリクエスト制限はあるため、制限を超えないよう慎重にパイプラインを回すことが重要です。
結果:1,171語の完全網羅へ
この仕組みにより、開発からわずか短期間で、シラバスの隅々までカバーする膨大な問題集を構築することができました。
AIは「作る」だけでなく、私たちが作成した「地図」を読み解き、適切な「教材」へと変換してくれる、最強の オーサリングパートナー となっています。
今後、他の試験区分(FEやSG)への展開も、このパイプラインを「量産化」することで加速させていきます。
[!TIP] 「人間にしかできないこと」に注力する AIに作問の大部分を任せることで、私たちは「学習体験の設計」や「UIの改善」といった、人間にしかできない価値創造に時間を割くことが可能になりました。
